テレワークについて議論すべきこと

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テレワークについて議論すべき事 働き方

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、テレワークをしている人も多いと思います。今回は、テレワークとは何か、何を議論すべきかという事を考えてみました。

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そもそもテレワークとは何か

そもそもテレワークとは何か

最近、巷でもテレワークという言葉が一般的になってきました。言葉としては随分前からあるのですが、日本ではここ数年の働き方改革、そして2020年に広がっている新型コロナウイルスの感染によって広く知られるようになりました。

そもそも、テレワークというのはどのような意味なのでしょうか。

テレワークの「テレ」には、遠隔という意味があります。つまり、テレ(遠隔)+ワーク(労働)が繋がって遠隔地から働くという意味を表しています。television(テレ:遠隔+ビジョン:映像)や、telephone(テレ:遠隔+フォン:音)と同じような意味で作られた言葉と言えるでしょう。

人によっては、このテレビジョンやテレフォンなどから連想して、ネットワークや電話が無いとテレワークと言えないと思っている人もいるかもしれませんが、実際には(オフィスから)離れた遠隔地で仕事をするということになりますので、特にネットワークや電話が無くてもテレワークと呼ぶことができます。

しかしながら今の世の中、ネットワークや電話、そしてパソコンが無いと仕事にならないというのが実態です。違う見方をすると、紙で仕事をしていてはテレワークができないと言っても過言ではないでしょう。

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加速するテレワークという働き方

加速するテレワークという働き方

前述の通り、日本でも働き方改革をきっかけにテレワークという働き方が検討されてきています。多様な働き方に対応するため、時短業務を認めたり、家やサテライトオフィスで働くというテレワークを検討する企業が増えてきました。

一方、このテレワークという概念は働き方改革が検討されるより以前からありました。きっかけは、2011年の東日本大震災です。皆さんも記憶にあると思いますが、あの時も日本中に閉塞感が漂い今と似たような状況だったと思います。

2011年当時の考え方は、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)が基本になっていました。すなわち、震災で会社に出てこられない場合に、ビジネスをどのように続けてゆくかという検討がされていたのです。その時にも会社に来なくても仕事ができるように、ネットワークやパソコンの整備が必要だ、という議論が起こっていました。

しかし残念ながら東日本大震災当時は、テレワークとしては大きな動きにはなりませんでした。理由は簡単です。その時は東日本の経済や物流が麻痺していたため、事業を継続するためには西日本で仕事ができればいいという考え方だったからです。東京本社が機能しなければ大阪を仮の本社にする、東日本の物流センターが使えないのなら西日本の物流センターから出荷する、という考えが主流だったのです。

その後「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の例えの通り、テレワークについて議論は下火になってしまいました。

でも今回は違います。北海道を皮切りに、大阪、そして首都東京までも新型コロナウイルスの感染が広がっており、影響は日本全国に及んでいます。さらに言えば、全世界が影響を受けている「大事件」なのです。各企業は、いやでもテレワークを考えないといけない状況に追い込まれています。

もともと2020年は、東京オリンピック・パラリンピックが開催される予定でした。そのため東京都は「スムーズビズ」という考え方を打ち出し、交通渋滞や通勤ラッシュの緩和を目的としてテレワークを推進しようとしていた矢先だったのです。それが新型コロナウイルス拡大によって、半年程度前倒しになったと考えることができます。

このスムーズビズに対しては、各企業の反応は今一つでした。ある一定の積極的な企業、先進的な企業のみがこの東京都の取り組みに協力しているだけ、という状況でした。東京オリンピック・パラリンピックによる交通渋滞や通勤ラッシュを、自分事として考えている企業が多くなかったからでしょう。

しかし今回は、各企業とも悠長な事を言っていられない状況です。各自治体が外出自粛要請やテレワーク要請を出している中、企業としてもその対応をせざるを得ないことになっています。これをきっかけに、テレワークの動きは加速することになるでしょう。重要なのは、コロナウイルス感染拡大対策を一過性のものとせず、将来への教訓として活かすことだと思います。

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テレワークの実施に向けて検討すべき論点

テレワークの実施に向けて検討すべき論点

それでは、加速するテレワークの動きについて我々が議論すべきことは何でしょう。これについて、リサーチ&アドバイザリ企業のガートナー社が2020年3月30日にとても示唆に富んだ論点を示しています。

ガートナーは”「5W1H」を軸にしたテレワークの検討と実施の加速”というタイトルで、その論点をまとめています。その5W1Hとは以下のポイントです。

  1. なぜテレワークを行うのか (Why)
  2. いつテレワークを行うのか (When)
  3. どこでテレワークを行うのか (Where)
  4. 誰がテレワークを行うのか (Who)
  5. 何を使用してテレワークを行うのか (What)
  6. どのように実施するか (How)

テレワークと言うと、とかくネットワークやパソコンなどIT環境に目が行ってしまいがちですが、それ以上に検討すべきことがたくさんあるのです。その点、ガートナーのこの論点の整理はとても優れていると思っています。

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まず最初にテレワーク導入の目的を明確にする

まず最初にテレワーク導入の目的を明確にする

これは一番重要なポイントです。そもそも、なぜテレワークが必要なのかということです。今回はたまたま新型コロナウイルス感染症対策がきっかけとなってテレワークを議論していますが、そもそも企業が何のためにテレワークをするのか、という事を明確にしなければいけません。

目的が明確になれば、それ以降の「いつ」「どこで」「誰が」「何を使用して」「どのように」するか、というアプローチは自ずと決まってくるはずです。

ガートナーは、この点について以下のように述べています。

新型コロナウイルス感染症対策としての「緊急的な暫定措置」なのか、あるいは働き方改革などの「恒久的措置」なのかを考える必要があります。

出典:ガートナーWebサイト

今回テレワークを議論するに当たっては、緊急措置としてテレワークを導入するのか、働き方改革を進める上でテレワークを導入するのか、という事を明確にしなければなりません。前述の通り、目的によってアプローチが全く異なるものになってしまうからです。

多くの企業は、前者の緊急措置に陥る可能性があります。それ自体は悪いことではありませんし、ある意味やむを得ないことだろうと思います。しかし私自身は、これをきっかけに長期的な視点、つまり将来の働き方改革を見据えたテレワークの導入を検討すべきではないかと思っています。

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テレワーク導入のアプローチ

テレワーク導入のアプローチ

前述の通り、テレワーク導入の目的が明確になれば、自然とアプローチが決まってきます。ガートナーが示している2つの目的に照らし合わせて、改めて整理してみましょう。

新型コロナウイルス感染症対策としての「緊急的な暫定措置」が目的の場合

緊急的な暫定措置が目的の場合のアプローチは、以下のようになります。(※ガートナーの提言を元に筆者が整理)

  1. When:速やかに導入する
  2. Where:自宅でのテレワークに限定する
  3. Who:早急に対象者を決めて、できるだけ早く全社員に適用する
  4. What:必要最低限のインフラでスタートする
  5. How:全社一斉に適用する

目的が緊急対応ですので、最初から満点を目指すのではなく、できるだけ速く全社員に適用することがポイントになります。ただし、紙を使ったペーパーワークが主体の職場や、工場、物流センターなど物理的に出社が必須になる職場は困難が伴います。このような場合は、時差通勤や時短勤務などで調整する必要があります。

また、外出自粛要請が出ていますので、自宅でのテレワークに限定しなければ意味がありません。

インフラ環境については、この際だからと言ってあれもこれも揃えたいと思うのが心情ですが、ここはグッと我慢して、例えば最低限携帯電話のみで仕事をするなどの割り切りが必要になります。

働き方改革などの「恒久的措置」が目的の場合

一方で、働き方改革などの「恒久的措置」が目的の場合のアプローチは以下のようになります。(※ガートナーの提言を元に筆者が整理)

  1. When:段階的に導入する
  2. Where:自宅だけでなく、サテライト・オフィスやカフェなどでの仕事を認める
  3. Who:対象者を段階的に決める
  4. What:実現するレベルを明確にして必要なツールを揃える
  5. How:小規模で試験的に始めて、その後対象範囲を広げる

ここでのポイントは、恒久的な措置を見据えた対応になりますので、前の項で述べた緊急措置をしながら、次の段階を目指すというアプローチです。

したがって、長期的な視点でのルール作成が必要になります。例えばテレワークの場所については、今後半年間は自宅に限定するが、それが解除された後はサテライト・オフィスやカフェなどでも仕事ができるようにセキュリティ対策を段階的に行うといったことになります。

またツールを検討する際には、緊急的に導入するツールと将来使う可能性のあるツールの移行の容易性なども考慮しておく必要があります。

今日はこれくらいにしておきましょう。ではまた。

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コメント

  1. tackmemo より:

    こんにちは。私の勤める会社では情報セキュリティを理由にノートパソコンをやめ、常にデスクトップを使用しています。それが逆にあだとなってテレワークができない状況です。どちらも一長一短があると思いますが、ノートPCの方がフレキシブルな働き方ができるということを痛感しました。

    • ihit ihit より:

      tackmemoさん
      コメントいただき、どうもありがとうございます。たしかにセキュリティの問題をクリア
      することは重要ですね。ただ、デスクトップになってしまったというのはちょっと
      残念ですね。今は、100%ではありませんが、セキュリティ対策も色々と
      できるようになっているので、またノートに戻るといいですね。

  2. […] テレワークについて議論すべきこと新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、テレワークをしている人も多いと思います。今回は、テレワークとは何か、何を議論すべきかという事を考え […]

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