日本で職務型(ジョブ型)雇用は定着するのか

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日本で職務型(ジョブ型)雇用は定着するのか スキルアップ

経団連は、日本型雇用の見直しを検討しています。2020年の労使交渉の指針でも、職務型(ジョブ型)雇用への切り替えを訴えています。さて、日本でもこのジョブ型の雇用形態は定着するのでしょうか。今回はこの点について考えてみたいと思います。

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ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用

ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用

経団連では、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用という形で2種類を使い分けています。ジョブ型雇用というのは、職務内容を明確に定義した雇用形態で、いわゆる欧米型の働き方です。一方でメンバーシップ型雇用というのは、従来の日本型の雇用形態で、長期雇用を前提に様々な仕事を経験させるという働き方です。

経団連では、2019年あたりから日本型雇用形態について見直しの必要性を言い始めています。日本型雇用形態というのは、「一括採用、終身雇用、年功序列」に代表される働き方です。以前の記事でも、すでにこのような日本型の雇用形態には限界が来ているとお伝えしています。

そして企業も我々ビジネスパーソンも、考え方を転換させる必要があるということをお伝えしました。つまりこれまでの安定成長ありきの環境とは異なり、経済が停滞あるいは縮小する環境下では、これまでのような発想が通用しないということなのです。

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経団連は本気か

経団連は本気か

欧米型のジョブ型雇用について、もう少しおさらいしてみましょう。ジョブ型雇用形態においては、いわゆるジョブ・ディスクリプションという業務内容を明確に記したものが必要になります。海外では、仕事をアサインされる時にこのジョブ・ディスクリプションを提示されることが当たり前になっています。

一方で日本では、ジョブ・ディスクリプションはほとんど浸透していません。何故ならば、経団連の言うメンバーシップ型雇用のため一人の人がローテーションなどで色々な業務を経験することが一般的だからです。

よく言えば柔軟な働き方ができるということになりますが、悪く言うと仕事の内容が曖昧なまま働いているということになります。海外ではあり得ないことです。海外では、ジョブ・ディスクリプションで定義されている仕事が無くなればすぐに解雇されてしまいます。

しかしながら経団連は、「『欧米型』のように、特定の仕事・業務やポストが不要となった場合に雇用自体がなくなるものではない」と明言しているのです。

ここに、大きな矛盾があります。一方でジョブ型雇用を推進すると言っておきながら、もう一方では仕事が無くなっても雇用がなくなることはない、と言っているからです。この点からすると、経団連は本気でジョブ型雇用を進めようとしているのかということに疑問が湧いてきます。

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ジョブ型雇用形態の定着のためには何が必要か

ジョブ型雇用形態の定着のためには何が必要か

日本でジョブ型雇用が定着するにはいくつかの課題があると思います。少し整理してみると以下のような点になると思います。

  1. 法整備
  2. 労働市場の流動化
  3. 企業の考え方の変革

法整備

まずは1点目の法整備についてです。日本においては、労働者はかなり保護されていると言えます。企業としては簡単に解雇できないような仕組みになっています。

しかし欧米のようにジョブ型の雇用形態を本当に導入しようとするならば、この規制はかなり障壁になると思っています。我々ビジネスパーソンにとっては頭の痛い話ですが、仕事が無くなれば解雇されるという考え方が日本でも必要になるかもしれません。

労働市場の流動化

これは最も大きな課題かもしれません。日本型雇用形態が長年続いてきているために、企業も労働者も終身雇用に慣れきってしまっています。一つの企業に入社したら、ほぼ定年まで同じ企業で働き続けるという形が続く限り、労働市場の流動化は加速しないように思います。

これは卵とニワトリの問題になるかもしれませんが、企業や労働者が終身雇用に別れを告げる決断をしないとなかなか進まないと思っています。

企業の考え方の変革

これは、先ほどの経団連の考え方にも通じる所かもしれません。つまり、「特定の仕事・業務やポストが不要となった場合に雇用自体がなくなるものではない」という考え方です。これは一般企業が考えている姿だろうと思います。

労働者としてはポジティブに捉えられる考え方ですが、いつまでもこのような考え方を続けていると、企業も労働者もぬるま湯に浸かったまま溺死してしまうかもしれません。

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まとめ

さて、今回はジョブ型雇用への転換が日本で進むかどうかについて考えてみました。少し過激な意見になってしまったかもしれませんね。

私個人としては、日本型雇用にも良いところはあると思っています。これまでの戦後の成長を支えてきたのですから。しかし何度も繰り返しているように、時代が変わってしまったのです。世の中の環境がこれまでの考え方では生き残れないようになってしまったのです。これは好むと好まざるとに関わらず、我々日本人のビジネスパーソンに突きつけられた課題ではないかと思っています。

今日はこれくらいにしておきましょう。ではまた。

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コメント

  1. tackmemo より:

    こんにちは。日本の場合、就職と言っても実際はまだまだ就社の意味合いが濃いので、職務型雇用の定着には時間がかかると思います。でも私の勤める会社でも、最近の若い人は割と簡単に転職するようになってきたので、人材の流動という点では以前より働く側の意識は変わってきていると思います。

    • ihit ihit より:

      tackmemo さん
      コメントいただき、どうもありがとうございます。日本では就職というより就社というご意見、全く同意です。職に就くというより会社に入るというのが日本の文化ですね。ただ、将来はこの考え方も変わってゆくだろうと、私は思っています。

  2. tackmemo より:

    こんにちは。日本の場合、就職と言っても実際はまだまだ就社の意味合いが濃いので、職務型雇用の定着には時間がかかると思います。でも私の勤める会社でも、最近の若い人は割と簡単に転職するようになってきたので、人材の流動という点では以前より働く側の意識は変わってきていると思います。

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