国税庁が2019年9月27日に発表した「平成30年分民間給与実態統計調査結果について」という調査結果が話題になっています。サラリーマンの平均年収は約441万円で、6年連続増加しているという結果に違和感を持つ人が多く出ているからです。我々の給料は本当に増えているのでしょうか?
サラリーマンの給料の実態 国税庁の民間給与実態統計調査結果
それではまず、話題になっている国税庁の「平成30年分民間給与実態統計調査結果について」を見てゆきましょう。いわゆるサラリーマンの給料の実態を調べたものです。
上の表の左下の数字をご覧ください。単位は千円ですので、平均給与は4,407千円です。男性が5,450千円、女性が2,931千円ですので、男女の差がかなりあるのがわかります。平均給与の右横が伸び率です。確かに平成25年から6年連続で平均給与が伸びています。
正規社員と非正規社員の差も大きいのがわかります。正規社員は5,035千円、非正規社員は1,790千円ですので、3倍近い差があります。
サラリーマンの給料になぜみんな違和感を持つのか?
それでは、なぜみんながこのサラリーマンの給料の実態調査結果に違和感を持つのでしょうか?
以前の記事でも書きましたが、世の中には「生活が苦しい」と思っている人がたくさんいて、全体の57.7%の人が「生活が苦しい(大変苦しいとやや苦しいの合計)」と答えています。そのため、この調査結果に疑問を持つ人が多いのだろうと思います。
もう一つの理由は、この調査結果が平均給与ということです。この調査は「1年を通じて勤務した給与所得者に支払われた給与総額(221兆5,281億円)」を「給与所得者数(5,911万人)」で割り算して求めているものです。
平均値のマジックがよく問題になりますが、平均給与は少数の高額所得者たちの影響で数字が大きくなります。そのため、多くの一般庶民の人たちからは違和感を持たれているのだと思います。この場合は、中央値を使うのがより実態に近いと考えられます。中央値を使うと、おそらくもっと日本人のサラリーマンの給料は下がるだろうと思います。
私が違和感を持った理由がもう一つあります。それはこの調査結果を発表した時期です。国税庁が発表したのは、2019年9月27日です。ご存知の通り、2019年10月1日からは消費増税が行われることになっていました。「皆さんの平均給与は伸びていますから、消費増税になっても大丈夫ですよ。」と言わんばかりのタイミングですね。
サラリーマンの給料においても格差は広がっている
「平成30年分民間給与実態統計調査結果について」には、以下のように平均給与を業種別に調査した結果もあります。
一番平均給与が高いのは「電気・ガス・熱供給・水道業」の759万円、次が「金融業,保険業」の631万円です。一番平均給与が低いのは「宿泊業,飲食サービス業」の251万円です。こちらも3倍以上の差があります。働いている業種によってかなりの格差が生じていることがわかります。
前述の通り、男女による格差や正規・非正規社員による格差など日本の格差社会は広がっているということを、この調査結果は物語っていると思います。同じサラリーマンでも、給料の格差があるのです。
税金は増えている
さらにもう一つ調査結果を見てみたいと思います。給与所得者が国に納めている税額を表したものです。
右から3つ目のカラムが税額です。平成30年には10兆5千億円です。大きすぎてピンときませんが、その右横の税額割合というものを見てください。見出しに「(e)/(c)」と書いてあるカラムです。これは、税額を給与総額で割ったものです。つまり、サラリーマンが給料のうちいくら税金を納めているかという比率です。時系列で見ると年々その比率が高くなっていることがわかりますね。
これは、給与は増えているかもしれないけど、税金も増えているということを意味します。2019年10月からは消費税も8%から10%に増額されていますので、我々庶民が国に払う税金が増えているわけです。サラリーマンの給料は増えていないのに、税金が増えているという実態。これではなかなか生活が楽にはならない気がします。
今日はこれくらいにしておきましょう。ではまた。
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