今回は、日本人のお金に対する考え方について見てゆきたいと思っています。さて皆さんは、お金に対してどのような考えを持っていますか?
非常事態宣言に関するお金の議論
2020年4月7日の政府による「非常事態宣言」に伴って、毎日のようにお金に関する話題が盛り上がっています。収入が減った世帯に対する補償、休業要請を受けた業種に対する補償などどれも切実な問題です。
本当に苦しい人たちに対する救いの手はすぐにでも行うべきでしょう。ただ、政府の動きはあまりにも拙く、遅いという印象を持たざるを得ません。関係省庁での調整や地方自治体との軋轢など、今はそんなことを言っている場合ではないのに、と歯がゆく感じるケースが多くあります。
欧米では政治リーダーたちが都市封鎖やそれとセットでの救済策をスピード感を持って表明してきました。つくづく日本の政治のスピードの無さにがっかりしたのは私だけではないでしょう。
このような状況を見ると、日本人はつくづくお金に関する議論が苦手なのだと改めて認識せざるを得ません。
アメリカ人のお金のリテラシー
日本では、お金の話をすることはタブーと捉えられることが多いようです。例えば、入社試験の面接で給与を学生から質問するということはあまり聞きません。「聞いてはいけないこと」とされています。また、株を売買することは賭け事と同じように捉えている人もいまだに多くいます。人前でこのようなお金の話をすることは、「恥ずかしい」「はしたない」と子供の頃から躾けられているのが原因かもしれません。
しかし、会社に入社試験を受けにきた学生にとっては、その会社が労働の対価としていくら給与を支払うのかということに興味を持つことは当たり前です。とても重要なことです。また、株の売買は法律でも認められていることで、ルールを守って実施すれば何の問題もない行為なのです。
横浜国立大学の西村隆男名誉教授によると、アメリカでは若い頃からお金に関する教育をしっかりと受けているそうです。少し長くなりますが、東洋経済ONLINEに掲載された西村氏の記事を抜粋します。
アメリカのマネー教育は、どのくらい進んでいるのでしょうか。アメリカは「実学」を重視することでよく知られていて、お金についても子どものころから「すぐに使える知識」を中心に教えています。
出典:東洋経済ONLINE Webサイト
例えば、40年前にアメリカの高校に視察に行ったとき、高校生が小切手の切り方を実習していました。当時のアメリカでは、通信販売の決済に小切手を郵送することがよくあり、店頭での買い物にも使われていました。
授業では、小切手に金額を書くときは“$10”と数字で書くのではなく、”Ten dollars”と文字で書きなさいと指導していました。1を7に書き換えるなど、受け取った人の偽造を防ぐためです。アメリカでは、40年も前から高校でマネー教育が行われていたことになります。
40年以上前のアメリカの話です。私もアメリカに住んでいたことがあるので、小切手のことを読んで懐かしく思いました。確かに小切手に金額を書くときには、間違いや偽造を防ぐために数字ではなく文字で書くことが義務付けられています。
恥ずかしながら、私はアメリカに住むことが決まってから小切手の書き方を覚えました。しかしアメリカでは、高校生でさえも小切手の書き方を学んでいるのです。しかも40年以上も前から。
アメリカでは、お金の話は決して「恥ずかしい」「はしたない」ものではなく、人生にとって大切なこととして学校でも教えているのです。アメリカ人は、いわゆるお金に関するリテラシーが高いのだろうと思います。
お金の話は悪いことか
アメリカ人(あるいは欧米人と言った方がいいかもしれません)のお金のリテラシーの高さに比べて、日本人はかなり低いと言わざるを得ません。
西村経済担当大臣が新型コロナ対策担当大臣を兼ねていることは百歩譲ったとして、お金の補償に関する議論が多くは裏側で進められていることに対して違和感を持っています。透明性が全く感じられないのです。やはり根底には、お金の話は「恥ずかしい」「はしたない」ことだと思っている人が多いからではないでしょうか。
日本には昔から、「臭い物に蓋をする」「沈黙は美徳」といったような文化があります。日本らしく奥ゆかしいと思う人もいるかもしれません。私も全く否定しているわけではありません。しかし、ことお金の話になったら、もっとオープンに正直に話をしてもいいと思うのです。「お金を儲けたい」「お金に困っている」というのは悪いことではなく、オープンで正直な気持ちだろうと思います。
このお金に対する考え方については、また機会があれば話をしたいと思います。今回は新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、日頃考えていることを述べてみました。
今日はこれくらいにしておきましょう。ではまた。
にほんブログ村人気ブログランキング
コメント