データで伝えることの重要性その2 大阪府の新型コロナウイルス対策「大阪モデル」

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データで伝えることの大切さ 大阪モデル 仕事のハック

2020年5月14日に、政府は緊急事態宣言の一部緩和を発表しました。それに先立ち、大阪府は「大阪モデル」を発表して話題になりました。今回は、データで伝えることの重要性その2としてこの大阪モデルについて検証し、私たちの仕事に生かせるポイントを考えてみましょう。

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大阪モデルとは

大阪モデルとは

まず最初に、今回の大阪モデルとはどのようなものかについて見てゆきます。

新型コロナウイルス対策については、各地方自治体が苦慮しながら対応を行なっています。都道府県知事は、おそらく寝られない日々が続いていることと思います。その中でも大阪府の吉村府知事は、当初の対応から脚光を浴びてきました。その中でもひときわ目を引くのがこの大阪モデルです。

大阪モデルとは、「府独自の基準に基づく自粛要請・解除及び対策の基本的な考え方」を示したものです。モデルと呼んでいるのは、国がなかなかこのような基準を作ろうとしないため、大阪府が独自に自粛要請や解除、そして対策を打つための基準を示して、他の地域のモデルになるということを意図しています。このようなモデルとして、極めて有効なものと考えられます。

モデルの具体的な内容としては、以下の通りとなっています。

大阪モデル
出典:大阪府のWebサイト

まずモニタリングする指標として、3つの分析事項と4つの内容を設定しました。

  1. 市中での感染拡大状況
    ①新規陽性者における感染経路不明者前週増加比
    ②新規陽性者におけるリンク不明者数
  2. 新規陽性患者の発生状況・検査体制のひっ迫状況
    ③確定診断検査における陽性率
  3. 病床のひっ迫状況
    ④患者受入重症病床使用率

そして、それらの指標に対する具体的な数値基準を設定しています。これらの基準が、とてもわかりやすいものになっています。これが大阪モデルです。

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大阪モデルは何がいいのか

大阪モデルは何がいいのか

それでは次に大阪モデルのいい点について見てゆきましょう。私は以下の3点で優れていると思っています。

  1. データをわかりやすく示している
  2. モデルを示すことで基準が明らかになる
  3. ビジュアルに訴えている

それぞれをもう少し深掘りしてゆきます。

データをわかりやすく示している

データを示すことの大切さの事例として、以前「東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイト」をご紹介しました。

データ(数値)で示すことにより、人は具体的なイメージを浮かべることができます。今回の新型コロナウイルス感染拡大においては、わからないことが極めて多いため、人々は恐怖におののいています。まさに見えない敵との戦いのようなものです。

そんな中、わかりやすい数値で情報を示されると、人は安心を得ることができます。自粛や営業中止などで人々が暗い心になりがちな世の中で、この大阪モデルは一筋の光を示してくれたように映るのです。したがって多くの人が、この大阪モデルを「わかりやすい」と賞賛しました。

モデルを示すことで基準が明らかになる

「いつ自粛が終わるのか」ということが大きな関心事です。大阪モデルでは、3つの数値を使って具体的に自粛の解除の基準を示しました。自粛解除の基準は以下の3点です。

②新規陽性者におけるリンク不明者数:10人未満
③確定診断検査における陽性率:7%未満
④患者受入重症病床使用率:60%未満

これらの数値を示すことにより、自粛がいつになったら解除されるのかという基準が明確になるのです。この大阪モデルが発表された日に、ニュースの取材を受けていた人が言っていました。「吉村知事が基準を示してくれたおかげで、そこまで頑張ろうという気持ちになりました。」

そうなのです。この人の言う通り、基準というゴールが示されたおかげで人々は「もう少し頑張ろう」という気持ちになれるのです。陸上競技を考えてみましょう。トラックのスタート地点に立って、「100メートル走りなさい」と言われるのと、「どこまでかわからないけど、とにかく走りなさい」と言われるのとどちらがやる気になりますか?答えは明らかですね。

ビジュアルに訴えている

大阪モデルのいい点として、もう一つ忘れてはいけないのがビジュアルに訴求しているということです。皆さんもご存知の通り、前述の基準をベースに達成できたかどうかということを、赤色(警戒レベル)、黄色(注意喚起レベル)、緑色(基準内)の3色ライトアップで色分けするというものです。大阪のランドマークである大阪城、通天閣、太陽の塔などがその対象になりました。

設定した3つの基準に対して、ライトアップで見せる。これはとてもわかりやすいですね。先ほどの数値同様、目で見る情報というのは人に大きなインパクトを与えます。それを大阪府民なら誰でも知っているランドマークに色で示すという、とてもナイスなアイディアだと思いました。

先ほどの3つのランドマークだけでなく、大阪府内の他の施設でも続々とライトアップが始まりました。なんとなく大阪府民の団結の強さのようなものを感じました。そしてついに2020年5月14日、通天閣が緑にライトアップされました。7日間連続で自粛の基準を達成したのです。この姿に感動した人も多かったのではないでしょうか。

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大阪モデルから学べることを仕事に生かす

大阪モデルから学べることを仕事に生かす

さて今回の記事は仕事のハックについて考えるものですので、この大阪モデルを仕事に生かすという視点で考えてみたいと思います。

まず「データをわかりやすく示す」という点です。これは何もリーダーに限ったことではありません。皆さんが仕事を進める上で、「具体的なデータ(数値)を示す」というのはとても大切です。私も日頃仕事をしていて、デキる人は必ず具体的な話をします。一方で残念な人は抽象的な話に終始することが多いのです。

データがわかればそれに対する問題点や課題もわかり、その解決策も示すことができるでしょう。このようにデータをわかりやすく示すという見える化が全ての仕事のスタートだと、私は考えています。

次に「モデルを示すことで基準を明らかにする」という点では、自らゴールを示すということが大切だと思います。「いつまでに、何を、どのレベルで達成する」ということを宣言して、周りを巻き込む。これも仕事ではとても大切なことだと思います。

最後に「ビジュアルに訴える」という点においては、デモンストレーションが大切だと思います。ここで言うデモンストレーションとは、商品や企画のデモやプレゼンだけのことではありません。周りに対して自分の存在感を示すという、もう少し広い範囲を示しています。これは欧米ではとても重要視されている行動ですが、日本では「でしゃばり」とか「目立ちすぎ」といった評価がまだ根強いため、ネガティブにとらえられがちです。

しかし、これからの世の中でグローバルに活躍したいという人にとっては、このデモンストレーションでビジュアルに訴えるということが大切になってくると確信しています。

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吉村大阪府知事にリーダーシップを学ぶ

吉村大阪府知事にリーダーシップを学ぶ

今回の大阪モデルで多くの人が感じていることは、大阪府の吉村知事のリーダーシップだろうと思います。吉村知事のリーダーシップを仕事にも生かせないでしょうか。

国の動きが鈍い中で、迅速な対応を取ってきた吉村知事はリーダーシップを大いに発揮していると言えます。しかし翻って仕事の現場では、いわゆるリーダーだけでなく、メンバーの一人一人がリーダーシップを発揮できると私は思っています。

一般的に企業では、部長や課長といった職場のリーダーが存在しています。ただ仕事を遂行する上では、いちいち部長や課長が口を出すことは少ないでしょう。つまり現場を預かる一人一人がそれぞれのリーダーシップを発揮して、成果を出してゆくことが必要になります。

吉村知事のように不眠不休で、というわけにはいかないかもしれませんが、彼のスピード感あふれる対応、そして毎日メディアの前でデモンストレーションしている姿というのは学ぶところが多いと思います。

今日はこれくらいにしておきましょう。ではまた。

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